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バルブ豆知識

VALVE TRIVIA
バルブ豆知識

バルブって何

バルブとは「流体※1を通したり、止めたり、制御したりするため、流路を開閉することができる可動機構をもつ機器の総称(JIS(日本産業規格)の「バルブ用語」規格による )」を指します。

バルブは、私たちの身近なところで使われています。
日常生活では、水道の蛇口・ガスの元栓・ボイラー・自動車のエンジンなどがあります。
他にも、発電所・工場のライン・産業機器などでも使われています。

バルブのことを「弁」と使うこともあります。
JIS(日本産業規格)の「バルブ用語」規格では、「用途、種類、形式などを表す修飾語が付くものには『バルブ』という用語に代えて,通常、『弁』という用語を用いる」と書かれていますが、英語表記は「バルブ」、日本語表記は「弁」と使われることが多いようです。
液体の放出や消費を抑える(蓋のような役割)バルブは「栓(Plug)」、流体を遮断するバルブは「コック(cock)」と言われます。

(※1)流体
液体・気体が混ざり合ったもの
液体は水・飲料・アルコール・薬剤・油やガソリン
気体は水蒸気・ガス・空気など
バルブイメージ

バルブの構造はどうなっているの

バルブ
弁箱(本体、胴、ボディ)
流路ならびに配管との接続部分を持つ。流路の主体部分を構成する耐圧部品。
弁体(ディスク、プラグ、ゲート)
流体を制御するために可動。弁を閉止する際に弁座と密着しバルブを閉止する。
弁棒(ステム)
駆動部からの操作力を弁体に伝達する。
ハンドル
バルブを手動で操作するための取っ手の総称。

バルブの種類にはどんなものがあるの

バルブの種類は、弁体の形状や機能によって分別され、大きく5種類に分けられます。

ゲートバルブ/仕切弁全開・全閉で使用

円盤(ディスク)をスライドさせ、流路を遮断することで開閉を行います。
流路は完全に開放/遮断された状態になり、流量の調整は行われません。
半開の状態だと、流体の流れによって弁体が細かく振動し破損する可能性もあります。

  • 特徴
    1. 全開時の圧力損失が少ない
    2. 開閉トルクが小さい
  • 弱点
    1. 開閉操作に時間がかかる
    2. 流量調節は不可
  • ゲートバルブ/仕切弁
  • ゲートバルブ/仕切弁展開図

グローブバルブ/玉形弁流量調節ができる

弁箱が球体になっていることから、玉形弁やグローブ(globe)とも呼ばれます。
中心部にある隔壁の隙間に弁体を押し付けて塞ぎます。
ハンドルを回して開閉を行うので、急な開け閉めはできませんが、流体の流量の調整・止水性能に優れたバルブです。

  • 特徴
    1. 閉止能力が高い
    2. 流量調節ができる
  • 弱点
    1. 流体抵抗が大きい
    2. 開閉操作には大きなトルクが必要
    3. 高粘度やスラリー流体には適さない
  • グローブバルブ/玉形弁
  • グローブバルブ/玉形弁展開図

ボールバルブレバー操作で素早く開閉

ボールの形をした弁体が弁箱の中で回転することによって、開閉を行います。
レバーを90度回転させることで、開閉操作をスムーズに行うことができます。
開閉の仕組みとして、貫通孔の向きを流路に合わせると全開し、流路に対して直角に向けると全閉となります。
抵抗が少ないため、ガスの元栓など広範囲で使われています。 ゲートバルブ同様、流量の調整には向いていません。

  • 特徴
    1. 開閉操作が早い
    2. 直線流路を持ち全開時の流体抵抗が少ない
    3. 自動化(アクチュエータ取付)に適している
  • 弱点
    1. 中間開度での使用や流用調節に適さない
    2. ソフトシートなので高温に不適
  • ボールバルブ
  • ボールバルブ展開図

チャッキバルブ/逆止弁流体の逆流を防止

流体の流れを一定に保ち、逆流を防ぎます。
給排水衛生設備で多岐に使われています。
いくつか種類があり、スイング式・リフト式・スモレンスキ式などに分けられます。

  • 特徴
    1. 流体圧力で自動開閉する(操作機構が不要)
    2. 構造が簡単
  • 弱点
    1. 流体の差圧が低いと閉止する
    2. 流体抵抗が比較的大きい
    3. 開度を保つために一定の流速が必要
  • チャッキバルブ/逆止弁
  • チャッキバルブ/逆止弁展開図

バタフライバルブ軽量で省スペース

円板状になっているのが特徴です。
弁体に対し、弁棒を軸として弁箱で90度回転させて開閉させます。 ボールバルブ同様、開閉がスムーズなことと、流量の調整がしやすいことが特徴です。

  • 特徴
    1. 軽量でコンパクト
    2. 全開時の流体抵抗が小さい
    3. 急速開閉が可能
  • 弱点
    1. 圧力の高い用途には適さない
    2. 流体や温度が制限される
  • バタフライバルブ
  • バタフライバルブ展開図
ボールバルブ ゲートバルブ
(仕切弁)
グローブバルブ
(玉形弁)
チャッキバルブ
(逆止弁)
青銅 ステンレス
遮断(封止)性
流れやすさ ×
操作しやすさ
流量調整 ×
逆流防止
用途 給油・給湯 排水 冷却水 冷温水 蒸気 給油・給湯 排水 消火 ガス 冷却水 冷温水 給油・給湯 排水 消火 ガス 冷却水 冷温水 蒸気 給油・給湯 消火 ガス 冷却水 冷温水 蒸気 給油・給湯 排水 消火 ガス 冷却水 冷温水 蒸気

バルブの材質にはどんなものがあるの

  • 青銅
    青銅
    (砲金、ブロンズ)

    銅Cu+錫(すず)Si+亜鉛Zn+鉛Pbの合金材料
    耐食性、切削性、鋳造性にすぐれ、低圧・中圧のバルブによく使われます。

  • 黄銅
    黄銅
    (真ちゅう)

    銅Cu+亜鉛Znの合金材料
    鍛造性、切削性がよく、青銅より経済性にすぐれます。

  • 鉛フリー銅合金
    鉛フリー銅合金
    鉛レス

    鉛をほとんど含まない銅合金。
    水道水に鉛が溶け出すのを抑える目的で開発された材料です。

  • ステンレス鋼
    ステンレス鋼
    SUS

    耐食性、耐久性にすぐれ、錆びにくいのが特長です。
    建築設備から石油化学プラントまで幅広く使われます。

  • ダクタイル鋳鉄
    ダクタイル鋳鉄

    使用圧力、温度範囲が広く、蒸気、水、ガス、油などの流体に使われます。

  • 硬質ポリ塩化ビニル
    硬質ポリ塩化ビニル
    PVC

    耐食性、耐候性にすぐれ、軽量で広範囲な用途に使用されます。

バルブの接続方法にはどんなものがあるの

  • ねじ込み形

    ねじ込み形
    管用ねじにより接続、主に2インチ以下の小口径、1MPa以下の低圧力で使われます。
    サブライン、末端配管
  • フランジ形

    フランジ形
    接続部分の円形・つば状の個所をフランジといい、バルブ側のフランジとパイプ・継手側のフランジをボルト・ナットで接続します。
  • 溶接形

    溶接形
    バルブとパイプを直接溶接する方式。接続部からの漏れを防止する場合に用いられます。
    突合せ溶接と差し込み溶接の2方式があります。

バルブの単位にはどんなものがあるの

  • 呼び径サイズ
    バルブの大きさは、接続する配管の口径で表します。
    これを「呼び径」といい、表示にはA(ミリ)・B(インチ)の2通りの記号があります。
    便宜上のサイズであり、実際のパイプの口径とは一致していないので注意が必要です。
  • 口径サイズ
    バルブの流路のサイズを「口径(ボア径)」といい、接続する配管の内径の直径で表します。
  • 呼び圧力圧力
    JIS規格品の5K、10Kや、あるいはANSI規格(アメリカ規格教会)のクラス100などという表示は「呼び圧力」といい、バルブの圧力区分を表します。
    便宜上の数値であり、実際にバルブを使用するときの最高使用圧力とは必ずしも一致しないので注意が必要です。

バルブ配管をするのに注意することは

  • 保護パッドなどの除去

    保護パッドなどの除去
    バルブが機能しません。
  • 流れ方向を本体の矢印に合わせる。

    流れ方向を本体の矢印に合わせる。
    玉形弁、逆止め弁、偏心形バラフライ弁など
    作業不良の原因となります。
  • 取り付け向きの確認

    取付け向きの確認
    バラフライ弁、二枚羽逆止め弁など
    作業不良の原因となります。
  • 分解禁止

    分解禁止
    漏れの原因となります。
  • レンチの使い方

    レンチの使い方
    ねじ込み側にレンチをかけてください。
    変形し、シート漏れの原因となります。
  • パイプのねじ込みすぎ注意

    パイプのねじ込みすぎ注意
    突き当て注意
    バルブが変形します。
  • 中心形バタ弁の取付け

    中心形バタ弁の取付け
    正しく配管してください。
    漏れの原因となります。
  • 配管ボルトの締め付け

    配管ボルトの締め付け
    フランジ配管ボルトの締め付け手順を守ってください。
    片締め防止 ※詳細はJIS B2251-2008フランジ継手締付け方法を参照とのこと
  • フラッシングの実施

    フラッシングの実施
    配管内をきれいに清掃してください。
    シート漏れ、機器破損の原因となります。
  • バルブの取り扱い

    バルブの取り扱い
    バルブは大切にお取り扱いください。
  • パッキンの増し締め

    パッキンの増し締め
    ご使用前に増し締めをしてください。
    グランド漏れを防止します。
  • パッキンの増し締め

    ステンレス鋼製メカニカル継ぎ手の配管
    適用管種:JIS G 3448、JWWA G 115 で規定するステンレス鋼管
    配管方法がそれぞれ異なります。各社の取扱説明書をお読みください。

(社)日本バルブ工業会バルブ部会の「製品取り扱いマニュアルポスター」を引用したものです。 ※は弊社が付記したものです。

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